2009年08月21日

09// どうか 私を忘れて 下さい

 ほろほろほろと、琴を爪弾く。

 昔は明るいだけの音色だった。

 今は時折混ざるこの空虚。



 ほろほろほろ。



 眠れぬ深更、月が雲間に隠れては姿を現す、生温い風の中で。ほろほろほろと琴の音をを曲にならないままに空へと投げる。



 誰に届けるため?

 もう逢うことのない子供たち。生きているかどうかも知れぬまま。



 いえ、生きているなら。

 薄情な母のことなどお忘れなさい。私もお前たちを忘れるから。



 蔡文姫は、静かに琴を置いた。
posted by みなと at 20:46| Comment(0) | くうのふたひ。こばなし
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