2009年08月14日

07// 旅立ちの時

 つい、一刻ほど前に拝礼して頂いた書簡を、今は私室で寝そべって読むともなく眺めていた。

 また、中央に出仕する気はないと云えば、輿を回してくるだろう。そんな恥は一度で充分だった。



 政に関心がないわけではない。しかし、時にどうしても全てを放り出したくなる気分があるからこそ、避けていた道だった。



 何かに倦んだわけでもないのに。逃げたいというこの欲求はどこから生まれてくるのか。頭の中身か、それとも身体か。



「悪くない暮らしをしていたのに。」



 ぼそりと恨み言のひとつでも吐いてよかろう。

 しかし、最早逃げることは許されない。そして、今度中央へ出たら、二度と戻れない引力を骨髄まで染み渡らせていた。



 羊叔子は、中領軍に属するため、地方官暮らしに終止符を打った。それは修羅の道の始まり。
posted by みなと at 08:27| Comment(0) | くうのふたひ。こばなし
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。