2020年01月30日

『三国志享受史論考』

 『三国志享受史論考』著:田中尚子 汲古書院
 前回の読書めもを書いたとき、著者の箱崎みどり氏(@midori_hakozaki)から教えていただいた本です。三国志研究会でヘ団さん(@Vitalize3K)に本を貸していただいたので、ちょっとずつ読みました。
 以下にふわっとしためも。

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 日本での三国志享受として史書と演義両方の面から、軍記ものや『通俗三国志』との共通点や相違点などが述べられた本書ですが、メインは史書『三国志』と『太平記』というところです。
 箱崎氏の著書でも触れられてた気がしますが、三国志の受容は史記や漢書からかなり遅れていたようです。
 面白いなーと思ったのは、『太平記』における三国志の取り込み方が、武将の活躍では全くなく、智将のものであるということでした。(そのために関羽・張飛などの存在が消されるほど)あくまで、『三国志』は政道、君臣論がメインとして取り上げられていたということ。
 その影響なのかはわかりませんが、軍記ものにある視点の流動性が『太平記』において、特に、楠木正成の場面において固定化されるというのは、諸葛亮孔明=楠木正成、といったイメージの重なり合いが明治期以降強くなることを考えると興味深いというか。
 さらに正統に対する意識からの受容は時代が下り、また、歴史書の編纂といった観点からの受容は江戸時代という流れが見えるのは面白いなーと。
 そして『通俗三国志』がただ『三国志演義』を翻訳したものではなく、軍記ものにある滅びの文学としての流れを取り込んで再構成されているという点。生者の今をいきいきと描く『三国志演義』に対して、ひとの死に様からそれまでの生を描く『太平記』や『通俗三国志』の差がいろいろ考えさせられるなーと思いました。

 歴史物語というものの面白さだなーみたいな。
 誤読してそうで怖いですね……。
posted by みなと at 14:26| Comment(0) | 読書めも
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